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[解 説] テイエムオペラオーは1996年北海道浦河の杵臼牧場において生まれた。父オペラハウスは英国産でキング・ジョージ6世&クイーンエリザベスSなど18戦8勝。1994年中央競馬会により種牡馬として購入された。欧州を席巻しているノーザンダンサー系種牡馬サドラーズウェルズの産駒で、晩成型ステイヤーというのが一般的評価であった。母ワンスウェドはブラッシンググルームを父に持つアメリカ産馬で、1987年杵臼牧場に輸入された。繁殖牝馬20頭足らず、面積33町の小さな杵臼牧場において初めての輸入繁殖牝馬で、牧場の至宝的存在であった。ちなみにオペラハウスは1988年生まれ、ワンスウェッドは1984年生まれで「年上女房」であった。このような血統背景であったが、地味な母系、供用2年目で評価が定まっていない父とあって、評判は今一つであった。 仕方がないのでセリ市に出したところ、その栗毛の馬体がオーナーとなるテイエム技研社長竹園正繼氏の目に止まった。購入金額は1000万円であった。栗東の岩元市三厩舎に入厩した。余談になるが、竹園氏は岩元師の中学時代の先輩で、岩元師が騎手時代にダービーを制したのを偶然テレビで見たことが、馬主をなるきっかけだったという。2歳8月の京都でのデビュー戦は2着。次走こそはと期待された矢先、軽い骨折が判明。岩元師はクラシックをあきらめ、第2回登録料3万円を支払うのもやめた。 3歳1月に放牧先から帰ってきたオペラオーは馬体が搾り切れておらず走れるような状態にはなかった。ところが脚元を考慮してダートの未勝利戦に出走すると、初戦は4着に敗れたものの、2戦目は一方的な内容で勝ちあがった。その後条件特別で勝利し、東上最終便とされる毎日杯を圧勝。このレース内容から、クラシックは十分狙えると判断した陣営は、追加登録料200万円を支払って皐月賞に出走することにした。この年のクラシックは二冠牝馬ベガの仔アドマイヤベガ、サッカーボーイ産駒のナリタトップロードが人気を二分していた。テイエムオペラオーはこの時点での評価は高くなく4番人気で皐月賞に挑んだ。上位人気馬が直線でもがく中、抜け出したオースミブライトを直線だけで捕らえた。絶望から一気に栄光へ駆けあがり、以後アドマイヤベガ、ナリタトップロードと3強を形成することになる。皐月賞馬にも関わらず、ダービーでの評価は3番手までであった。ファンはやはりベガの血の継承という筋書きを期待したのである。果たしてアドマイヤベガが武豊の魔術的騎乗によりダービーを制し、オペラオーは3着に敗れた。 3歳秋は菊花賞を目標とし、京都大賞典で初めての古馬との対決。天皇賞馬スペシャルウィーク、メジロブライトを含む強力古馬陣を相手に3着に健闘。勝算をもって菊花賞に挑んだ。1番人気のアドマイヤベガが折り合いに苦しんで自滅。しかし先行するナリタトップロードを捕らえることができず2着。名を捨てて実を取り、ジャパンカップでなくステイヤーズSに出走。このメンバーなら勝てるはずであったが僅差の2着に敗れた。有馬記念はグラスワンダーとスペシャルウィークの世紀の叩き合いに割り込み3着に食い込んだ。皐月賞以降は勝てなかったが、安定した成績を残したことを評価されて最優秀四歳牡馬に選ばれた。 4歳になり、オペラオーは充実期を迎える。陣営は中長距離古馬路線の王道を進むことを表明した。まず京都記念でナリタトップロードを下した。このレース以降オペラオーはすべてのレースで1番人気に支持された。続く阪神大賞典でサイレンススズカの弟ラスカルスズカを下した。この3頭で3強を形成した天皇賞は、3頭の競り合いを抜け出し、ラスカルスズカを半馬身抑えて優勝した。宝塚記念も成長著しい外国産馬メイショウドトウの追撃をかわして勝利した。 秋は京都大賞典から始動。59キロの斤量も問題なくナリタトップロードを競り落とした。天皇賞・秋には大本命で迎えられた。秋の天皇賞は1番人気の勝率が極端に低い。五冠馬シンボリルドルフをはじめ、あのサイレンススズカは痛ましい最期を迎えている。それだけにテイエムオペラオーも不動の本命だったものの、一抹の不安をぬぐい得なかった。しかしレースはファンの予想を越える一方的勝利であった。いつもはさほど着差を広げないオペラオーがメイショウドトウを2馬身半ちぎった。1番人気の馬が天皇賞・秋に勝ったのは1986年のニッポーテイオー以来であった。またこの勝利により、中央4場のG1レースをすべて制するという快挙を成し遂げた。快挙はこれで終わらなかった。続くジャパンカップではゴドルフィンが送り込んだファンタスティックライトを競り落し、メイショウドトウの追い込みを交わして優勝。そして有馬記念は4コーナーで大きな不利を受けながらも、メイショウドトウの追い込みをハナの差凌いだ。天皇賞、ジャパンカップ、有馬記念を3連勝したのは史上初の快挙。さらに天皇賞・春、宝塚記念を含めたG1競走5勝を含む年間8勝不敗というのは、過去のどの名馬でも達成していない大記録であった。しかし、強力だったスペシャルウィークの世代の有力馬が引退してメンバーが手薄になっていた、レコード勝ちがひとつもない、着差がいつも僅少差で強さを感じさせない、といった理由で、評価はそれほど高いわけではなかった。 5歳となったオペラオーはこの年も中長距離の王道を歩んだ。これだけの馬なら引退させるか海外遠征というのがありがちなオーナーなのだが、岩元師は海外競馬の経験が浅いこと、オペラオーの飼葉食いが細いこと、そして何より日本のほうが賞金が高いことからそう決断した。しかしこの年のオペラオーは苦戦の連続であった。緒戦の大阪杯は格下のトーホードリームの4着とよもやの敗戦。天皇賞・春はレース直前の雨に恵まれて、メイショウドトウ以下に辛勝。しかし盾3連覇を達成。続く宝塚記念は道中の不利もあって、過去5度に渡ってオペラオーの2着に甘んじていたメイショウドトウに雪辱され2着。 秋は京都大賞典から始動。1位入線したステイゴールドが直線でナリタトップロードを落馬させ失格。繰り上げでの勝利となった。天皇賞は雨となり、オペラオーにとって願ってもない馬場状態であった。直線抜け出したかに思えたが、急遽参戦した外国産馬アグネスデジタルに大外から差し切られた。ジャパンカップは直線抜け出しながら、その年のダービー馬ジャングルポケットに競り負けて2着。これまで馬体を合わせて負けることなど考えられなかったオペラオーだけに陣営の衝撃は大きかった。ファンはこの敗北を受け入れられなかった。ジャングルポケットもアグネスデジタルも出走しない有馬記念なら、得意の中山コースだけに有終の美を飾るだろう。そう考えたファンは1番人気に支持した。レースは直線で完全に失速し、菊花賞でジャングルポケットを負かしているマンハッタンカフェの軍門に下った。オペラオーは5着に入るのがやっとであった。有終の美を飾れなかったが、21世紀最初の名馬であることは間違いない。 予定通りこの有馬記念で引退したテイエムオペラオーは翌年1月、最大のライバルのメイショウドトウと合同引退式が行われた。種牡馬としてのオペラオーはオーナーの方針でシンジケートは組まれず、オーナーが個人所有する。これは格安の種付け料とすることで、生産者の負担を減らしたいというオーナーの強い要望があってのことだ。しかしシンジケートという後ろ盾がないので、初年度の産駒成績が悪ければ、生産者によって見限られる危険性が高い。それに零細牧場のさほど良血でない繁殖牝馬を相手にしなけばならないのも不利だ。厳しい見解になるが、オペラオーによほど種牡馬としての能力が備わっていなければ、成功はおぼつかないだろう。繋養先のイーストスタッドにはメイショウドトウもいる。産駒のデビューは2005年。ともに初年度が勝負なので注目したい。 2002年9月1日筆 |
| 齢 | 日付 | 競馬場 | 競走名 | 距離 | 馬場 | 頭数 | 人気 | 着順 | 時計 | 騎手 | 斤量 | 馬体重 | 1着馬(2着馬) |
| 2 | 1998/8/15 | 京都 | 新馬 | 1600 | 良 | 12 | 1 | 2 | 1:36.7 | 和田竜二 | 52 | 458 | クラシックステージ |
| 3 | 1999/1/16 | 京都 | 未勝利 | ダ1400 | 良 | 16 | 2 | 4 | 1:28.0 | 和田竜二 | 54 | 472 | ゼンノホーインボー |
| 〃 | 1999/2/6 | 京都 | 未勝利 | ダ1800 | 良 | 10 | 1 | 1 | 1:55.6 | 和田竜二 | 54 | 478 | (ヒミノコマンダー) |
| 〃 | 1999/2/27 | 阪神 | ゆきやなぎ賞 | 2000 | 稍 | 14 | 2 | 1 | 2:05.3 | 和田竜二 | 55 | 464 | (アンクルスルー) |
| 〃 | 1999/3/28 | 阪神 | 毎日杯(G3) | 2000 | 良 | 14 | 3 | 1 | 2:04.1 | 和田竜二 | 55 | 462 | (タガノブライアン) |
| 〃 | 1999/4/18 | 中山 | 皐月賞(G1) | 2000 | 良 | 18 | 5 | 1 | 2:00.7 | 和田竜二 | 57 | 464 | (オースミブライト) |
| 〃 | 1999/6/6 | 東京 | 東京優駿(G1) | 2400 | 良 | 18 | 3 | 3 | 2:25.6 | 和田竜二 | 57 | 468 | アドマイヤベガ |
| 〃 | 1999/10/1 | 京都 | 京都大賞典(G2) | 2400 | 良 | 10 | 3 | 3 | 2:24.4 | 和田竜二 | 57 | 476 | ツルマルツヨシ |
| 〃 | 1999/11/7 | 京都 | 菊花賞(G1) | 3000 | 良 | 15 | 2 | 2 | 3:07.7 | 和田竜二 | 57 | 472 | ナリタトップロード |
| 〃 | 1999/12/4 | 中山 | ステイヤーズステークス(G2) | 3600 | 良 | 14 | 1 | 2 | 3:46.2 | 和田竜二 | 57 | 476 | ペインテドブラック |
| 〃 | 1999/12/26 | 中山 | 有馬記念(G1) | 2500 | 良 | 15 | 5 | 3 | 2:37.2 | 和田竜二 | 55 | 474 | グラスワンダー |
| 4 | 2000/2/20 | 京都 | 京都記念(G2) | 2200 | 良 | 11 | 1 | 1 | 2:13.8 | 和田竜二 | 57 | 478 | (ナリタトップロード) |
| 〃 | 2000/3/19 | 阪神 | 阪神大賞典(G2) | 3000 | 稍 | 9 | 1 | 1 | 3:09.4 | 和田竜二 | 58 | 472 | (ラスカルスズカ) |
| 〃 | 2000/4/30 | 京都 | 天皇賞・春(G1) | 3200 | 良 | 12 | 1 | 1 | 3:17.6 | 和田竜二 | 58 | 468 | (ラスカルスズカ) |
| 〃 | 2000/6/25 | 阪神 | 宝塚記念(G1) | 2200 | 良 | 11 | 1 | 1 | 2:13.8 | 和田竜二 | 58 | 470 | (メイショウドトウ) |
| 〃 | 2000/10/8 | 京都 | 京都大賞典(G2) | 2400 | 良 | 12 | 1 | 1 | 2:26.0 | 和田竜二 | 59 | 474 | (ナリタトップロード) |
| 〃 | 2000/10/29 | 東京 | 天皇賞・秋(G1) | 2000 | 重 | 16 | 1 | 1 | 1:59.9 | 和田竜二 | 58 | 472 | (メイショウドトウ) |
| 〃 | 2000/11/26 | 東京 | ジャパンカップ【GI】 | 2400 | 良 | 16 | 1 | 1 | 2:26.1 | 和田竜二 | 58 | 476 | (メイショウドトウ) |
| 〃 | 2000/12/24 | 中山 | 有馬記念(G1) | 2500 | 良 | 16 | 1 | 1 | 2:34.1 | 和田竜二 | 57 | 480 | (メイショウドトウ) |
| 5 | 2001/4/1 | 阪神 | 大阪杯(G2) | 2000 | 良 | 14 | 1 | 4 | 1:58.7 | 和田竜二 | 59 | 476 | トーホウドリーム |
| 〃 | 2001/4/29 | 京都 | 天皇賞・春(G1) | 3200 | 良 | 12 | 1 | 1 | 3:16.2 | 和田竜二 | 58 | 478 | (メイショウドトウ) |
| 〃 | 2001/6/24 | 阪神 | 宝塚記念(G1) | 2200 | 良 | 12 | 1 | 2 | 2:11.9 | 和田竜二 | 58 | 474 | メイショウドトウ |
| 〃 | 2001/10/7 | 京都 | 京都大賞典(G2) | 2400 | 良 | 7 | 1 | 1 | 2:25.0 | 和田竜二 | 59 | 478 | (スエヒロコマンダー) |
| 〃 | 2001/10/28 | 東京 | 天皇賞・秋(G1) | 2000 | 重 | 13 | 1 | 2 | 2:02.2 | 和田竜二 | 58 | 470 | アグネスデジタル |
| 〃 | 2001/11/25 | 東京 | ジャパンカップ【GI】 | 2400 | 良 | 15 | 1 | 2 | 2:23.8 | 和田竜二 | 57 | 480 | ジャングルポケット |
| 〃 | 2001/12/23 | 中山 | 有馬記念(G1) | 2500 | 良 | 13 | 1 | 5 | 2:33.3 | 和田竜二 | 57 | 480 | マンハッタンカフェ |
| 距離区分 | 戦 | 1着 | 2着 | 3着 | 連対率 | 主な勝鞍 |
| 1400m未満 | 0.000 | |||||
| 1400〜1900m未満 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1.000 | |
| ダート1400〜1900m未満 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0.500 | 1900〜2200m未満 | 6 | 4 | 1 | 0 | 0.833 | 1999皐月賞 2000天皇賞・秋 |
| 2200〜2800m未満 | 12 | 6 | 2 | 3 | 0.667 | 2000宝塚記念 2000ジャパンカップ 2000有馬記念 |
| 2800m以上 | 5 | 3 | 2 | 0 | 1.000 | 2000天皇賞・春 2001天皇賞・春 |
| 芝コース通算 | 24 | 13 | 6 | 3 | 0.792 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ダートコース通算 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0.500 |
| 競馬場 | 戦 | 1着 | 2着 | 3着 | 連対率 | 主な勝鞍 |
| 中山 | 5 | 2 | 1 | 1 | 0.600 | 1999皐月賞 2000有馬記念 |
| 京都 | 10 | 6 | 2 | 1 | 0.800 | 2000天皇賞・春 2001天皇賞・春 |
| 東京 | 5 | 2 | 2 | 1 | 0.800 | 2000天皇賞・秋 2000ジャパンカップ |
| 阪神 | 6 | 4 | 1 | 0 | 0.833 | 2000宝塚記念 |
| 通算 | 26 | 14 | 6 | 3 | 0.769 |
|---|
| オペラハウス Opera House 1988 鹿 |
Sadler's Wells | Northern Dancer | Nearctic | Nearco |
| Lady Angela | ||||
| Natalma | Native Dancer | |||
| Almahmoud | ||||
| Fairy Bridge | Bold Reason | Hail to Reason | ||
| Lalun | ||||
| Special | Forli | |||
| Thong | ||||
| Colorspin | High Top | Derring-Do | Darius | |
| Sipsey Bridge | ||||
| Camenae | ヴィミー | |||
| Madrilene | ||||
| Reprocolor | Jimmy Reppin | Midsummer Night | ||
| Sweet Molly | ||||
| Blue Queen | Majority Blue | |||
| Hill Queen | ||||
| ワンスウェド Once Wed 1984 栗 |
Blushing Groom | Red God | Nasrullah | Nearco |
| Mumtaz Begum | ||||
| Spring Run | Menow | |||
| Boola Brook | ||||
| Runaway Bride | Wild Risk | Rialto | ||
| Wild Violet | ||||
| Aimee | Tudor Minstrel | |||
| Emali | ||||
| Noura | Key to the Kingdom | Bold Ruler | Nasrullah | |
| Miss Disco | ||||
| Key Bridge | Princequillo | |||
| Blue Banner | ||||
| River Guide | Drone | Sir Gaylord | ||
| Cap and Bells | ||||
| Blue Canoe | Jet Pilot | |||
| Portage |